備忘録的コラム集

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コラム1:政治に対するコペルニクス的視点を持て

かのコペルニクスはこう言った。「太陽が回っているのではない、地球が回っているのだ」と。今では太陽が動いているという人がいればお笑い草となろうが、長年人間は、自身の目で見た直感を信じ、それを当然のものだと考えてきた。しかし、太陽が動くのを否定できても、同様のことを我々は今でも行っているところがあるのではないか。その最たるものが政治である。トルストイ戦争と平和で、歴史とはナポレオンやカエサルのような一人の傑物によって作り出されるものではなく、その時代に生きていた一人ひとりが互いに影響し合いながら、一定の歴史法則に従って生み出されるものであると述べた。現代風に言い換えれば、我々はトランプ大統領が、習近平が、安倍首相が国の趨勢を司り、舵取りをしているというイメージがあるが、彼らもまた世界の法則の下で揺れ動く一役者にすぎないというのである。根底に流れる法則・潮流は、先人たちから「今」を受け継いだ我々個人個人による営みを基盤としながら、その営みの総体によって紡ぎ出される。つまり、私達が個人として意識すべきは、「総体」の動きと「個人」の動きの関連性ではなく、様々な社会科学の研究によって得られた「法則」という知見から「総体」の動きを捉えることであるといえよう。社会科学とはそのために存在するものであり、決して個人の具体的営みから総体を推察するという方向からの推察に終始してはならない。私達が見えるものからのみ物事を判断するのでは、太陽はいつまでも私達の周りを回る存在としか認識し得ないだろう。